廃城や廃墟の退廃的な美しさに、なぜ人は惹かれてしまうのだろう。
そこが、「過去の栄光と現在の荒廃が交錯する場所」だからなのかもしれない。栄華や繁栄を極めた場所もいつしか荒廃する。自然による浸食、時間の経過、あるいは悲しいことだが暴力や戦争の破壊によって。今は荒廃しているその場所に、かつての栄光の名残を見るとき、人は胸が締め付けられるような感情を覚える。
AIの進歩が目覚ましい。それは、画像生成においても例外ではなく、プロンプトを入力しさえすれば、ものの数秒で、廃城や廃墟の画像が作り出される。暗がりや雨の中にかすむ廃城、暗い室内に落ちる影、崩れる漆喰の壁、割れた硝子、床には雨水が溜まり、かつて豪華だった家具は古びてくすんでいる。荒れ果て、浸食する植物に覆われ、すべてがゆっくりと朽ちている。
AIが生成する画像は、もちろん過去の栄光や歴史的な重みを持たない。陰惨な歴史もない。そこに生きた人々もいない。…過去というものを一切持たない。
けれど人の営みが絶えず時間と共に変化することを潜在的に知っている私たちは、過去を持たないそれらに、遺棄されたストーリーを想像せずにはいられない。「過去の栄光と現在の荒廃が交錯する場所」の気配を感じ、切なさやノスタルジー、哀愁といった感情が呼び覚まされてしまう。
それは、生成された画像が、限りなくリアルに近づいているせいもあるだろう。
虚構の廃城や廃墟が、いとも簡単に出現する驚きに魅了され、生成しているうちに、多くの作品が出来上がった。それらのどこにも存在しない場所たち、110作品を一冊の本にまとめてみることにした。どこまでも静かで物悲しい雰囲気が、誰かのインスピレーションを喚起させることができれば嬉しく思う。
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■画像はすべて、「Leonardo.Ai」によって生成しました。一部、「Adobe Photoshop」で、色彩の変更や加工をしています。歪みや現実的にはあり得ない表現がありますが、ご了承ください。
AIが描く廃城・廃墟
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